滝本竜彦原作、大岩ケンヂ漫画『NHKにようこそ! 2』角川書店/角川コミックス・エース/2004年11月/ISBN:4047136816
初出は『月刊少年エース』2004年7月号から11月号。
2巻まで読んでふと考えたのだが、原作の滝本竜彦の小説より大岩ケンヂのマンガの方が完成度が高く、「面白い」作品になりそうな気がする。
id:neanias:20040728#p1で1巻の感想について「原作と比べヒロイン中原岬のキャラクターがまとも」と書いたが、2巻では徐々に岬の破綻があらわになってきた。けれどもそれはあくまで「ヒロイン」としては破綻が見えてきたというだけで、大岩漫画版と比べると滝本小説版の岬はヒロイン未満。小説版岬も「天然」を軸に言葉使いや行動に萌えどころのフックはいくつか仕掛けられているけどそれ以前に岬登場のはじめから痛々しさや挙動不審さが前面に出てきて読者は萌えられない*1。それに比べ漫画版は岬のキャラクター造形やおまけの四コママンガ、佐藤の妄想内のエロシーンなんかで萌えへ導かれるフックは充分用意されているし、小説版と比べて岬の痛々しさはまだそんなに目立ってない。これから岬のキャラクターが崩れてもあくまで「壊れていった」で小説版のように「はじめから壊れている」わけではないからいくらでも起伏にとんだエピソードを作れるし、テンポよくすすんでいくのではないか。好き嫌いでいったら小説版のはじめからおわりまでただようけだるさに魅かれるんですが。

*1:いや別に萌える必要はないんだけどさ