山本栄一著『言論のテロリズム 週刊新潮捏造報道事件」の顛末』鳳書院/2001年/ISBN:4871221245
「元読売新聞社編集委員」の著者による週刊新潮批判本。版元の鳳書院創価学会系の出版社。
池田大作レイプ疑惑」とか「信平狂言訴訟」(←こっちは主に創価系の人が使うね)と呼ばれる、北海道在住の元創価学会幹部・信平醇浩、信平信子夫妻が池田大作にレイプされたとして1996年に損害賠償を求めて提訴した「事件」を中心に、週刊新潮の報道の杜撰・悪質さ(特に記者の門脇護と編集長〔当時〕の松田宏)と信平夫妻やそれを陰に陽に支えた反創価学会勢力(具体的には日蓮正宗日本共産党乙骨正生山崎正友などが俎上にあげられている)が仕組む謀略の構図を暴き出している…。
てな感じで構成されている本なんですが、説得力が全然無いんだわ。少なくとも学会内部への内向きの本で、学会員以外の人には届かない論理展開。「信平夫妻はうさんくさい」「週刊新潮・新潮社は悪辣な出版社だ」という前提を持っていないとついていけない。信平夫妻が学会内部での金銭貸借問題で幹部職を解かれたということは知らなかったので、私の中で少しイメージダウンになりましたが。まあこれだって八葉の詐欺事件なんかと同じであれだけの会員がいるならありそうなことだと思うしなぁ。
なおこの裁判は最高裁まで争って信平夫妻側が全面敗訴。「訴権の濫用」として訴えを退けられています。日本評論社からも確かこの件に関して法学的見地からの専門書的体裁の本が出ていたような…。
第3章では「対談 週刊誌ジャーナリズムはどこまで狂うのか」と題して高崎隆治との対談を収録。
気になったところ。山崎正友が事件を裏で操っていた、として山崎と松田宏や日共との関係を検証する記述の一部から。(p.98-99)

 さらに別の有力な証言もある。山崎と京都大学時代の同級生であり、長年、共産党の国会議員秘書を務めた兵本達吉氏のそれである。
 同氏は山崎と、狂言騒動に関わる者たちについて、こう明確に言い切っている。
「彼らは全部、つながっている。完全につながっている」「山崎正友が仕掛け人であることは間違いない。私が見ていても」
 平成七年(九五年)暮れ、兵本氏は、関係者が顔をそろえた忘年会にも参加したという。
 奇妙なことに、その忘年会の直後、あたかもタイミングを見計らっていたかのように、信平信子が共産党機関紙に登場。そして翌年、問題の「手記」が『週刊新潮』に掲載されるのである。この忘年会で、どのような会話が関係者の間で語られていたかは、想像に難くない。

兵本達吉@『正論』御用達ライター、意外なところで登場。
…しかし、こんな本ばっか読んでる暇があったらもっとちゃんとした本を読めと僕の中の人が最近言うんですが…。