小林よしのり『ゴー外!! 1』
小林よしのり著『小林よしのりの痛快〝こき下ろし〟SPECIAL ゴー外!! 1 翻弄されない視座をもつ』アスコム/2004年8月/ISBN:4776201887
昨年4月にイラクで起きた2件の日本人拉致・拘束事件*1を巡るメディア・知識人批判をまとめた聞き書き本。インタビュアーは小林の事務所である「よしりん企画」の時浦兼。章立ては以下の通り。初出記載のないもの以外は全て語り下ろし。
「まえがき 『ゴー外!!』を出す理由」
「総論 あえて邦人人質を擁護する」〔『わしズム』Vol.11 ISBN:4344006364〕
「詳論1 ご都合主義の「自己責任」論」
「詳論2 日本政府が本当にやったこと」
「詳論3 政府御用・産経新聞の大虚報」
「詳論4 陰謀説に狂った知識人の群れ」
「詳論5 歪める「ネット言論空間」」
「結論 ヨロンのバカ 情報操作に踊った日本人の心性」
主な批判・罵倒対象:産経新聞、稲垣武、高山正之、2ちゃんねらー、週刊新潮、諸君!、正論、吉田鈴香、柏村武昭、時沢和男、福田康夫、志方俊之、逢沢一郎、読売新聞、テーミス〔THEMIS〕、曾野綾子、三浦朱門、村田良平、森本敏、福田和也、岡崎久彦、安倍晋三、石原慎太郎、内藤正典、石井英夫、高岡豊、加納洋人、桑原聡、上坂冬子、古森義久、西村眞吾、渡辺也寸志、石堂淑朗、中西輝政、2ちゃんねる、西村幸祐、池内恵…。
飛鳥新社『本日の雑談』シリーズを読んでいないのでいつもこのレベルなのか、たまたまこの時だけなのかはわからないけれど、小林・時浦共にとにかく罵倒や批判が直截かつ身も蓋もなくてヒドい。「バカ」というのはまだ優しいほうで、雑誌感覚・緊急出版のミズモノ本とはいえ名誉毀損で訴えられてもおかしくないほどの放言ぶり。飲み屋レベルだよ…。主張や批判内容に首肯するところがあったとしても構成段階でカットされるような発言がそのままで、出版物としては首を傾げざるを得ない。ただ小林の場合、一時期の勢いが無くなったとしても著書はコンスタントに売れる作家だから出版社の方が小林に気をつかってそのままにしてるのかも。ともあれ久々に批判相手をけちょんけちょんに貶してる本を読んだ。