田勢康弘『総理の座』
田勢康弘著『総理の座』文藝春秋/文春文庫/2000年4月/ISBN:4167489023
1995年1月に刊行された同名の単行本*1に第一章として「橋本・小渕政権時代」を加えて刊行されたもの。
初出をみればわかるように、23本中13本の文章が会員制情報誌『選択』に載ったものだし、他の文章もほとんどが月刊総合誌に載ったものなので、当時の記憶が残っている人ならさらさらと読めるのだろうけど、かろうじて細川政権誕生の熱狂を覚えているくらいの年齢の人間としては、出てくる政治家の名前が印象が薄い人が多くて少しだけ読むのに苦労した。
ただし、読むのに苦労したもう一つの理由は本の構成にもあって、時代が新しいほうから遡るようになってるのも読みづらさを増すところ。別にそういう構成が必ずバツということではないのだけれど、月刊誌に載るような政局記事がほとんどなので、たとえば○○政権の末期を描写したエッセイの後で、○○は長期政権に向けて盤石の基盤を築こうとしているといったようなエッセイを読むとかなり頭の中が混乱する。
ちなみに読後の印象では、田勢の評価は宮沢:○、細川:期待はちょっとしたけど基本的に×、羽田:論外、村山:意外と○、といった感じ。
以下、目次と初出。
口上
文庫化にあたって
第一章 橋本・小渕政権時代
- 人材払底社会の悲劇 (『現代』2000年1月号)
- 小沢一郎とは何か (文庫化にあたり書き下ろし)
第二章 羽田・村山政権時代
- 内閣総理大臣の孤独 (『中央公論』1993年4月号)
- 大蔵省に牛耳られる首相官邸 (『日経ビジネス』1994年3月28日号)
- 村山政権誕生の内幕 (『文藝春秋』1994年9月号)
- 村山長期政権説 (『選択』1994年8月号)
- 人材払底の時代 (『選択』1994年7月号)
- 日本の限界・羽田総理大臣 (『フォーサイト』1994年5月号)
- 羽田・小沢この近くて遠い関係 (『選択』1994年6月号)
- 小沢一郎は死んだか (『選択』1994年9月号)
第三章 細川政権時代
- 細川護熙黄昏の日々 (『文藝春秋』1994年6月号)
- 風を求めた人たち (『中央公論』1992年8月号)
- 風が吹いたあとで (『中央公論』1993年9月号)
- 「操り人形」を拒んだ細川 (『選択』1994年3月号
- 奇妙な政治に成り果てた (『選択』1993年12月号)
- 細川連立政権「四つの罪」 (『選択』1994年1月号)
第四章 宮沢政権時代
- 宮沢最後の日々 (『文藝春秋』1993年8月号)
- 佐川を神風にして (『選択』1992年10月号)
- 「ひとり歩き」はじめた宮沢政権 (『選択』1992年11月号)
- 宮沢、自前政権を手に (『選択』1993年1月号)
- 強運の人・宮沢 (『選択』1993年2月号)
- ぐらつく宮沢再選 (『選択』1993年4月号)
- 非情の人・宮沢 (『選択』1993年5月号)
関連年表